【醸造所見学】江東区&墨田区で醸造するヴィルゴビールから学ぶビール造りの流れ
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日本全国に約500カ所ほどのクラフトビールの醸造所があります。
500カ所もある醸造所ですが、知っている醸造所はいくつありますか?
実際に飲んだことのあるクラフトビールはいくつありますか?
それぞれに個性があり、おもしろいビールを造る醸造所。皆様に少しでも興味を持ってほしいと思い、醸造所を初めとするメーカー様を紹介していこうと思います。
第1回目は、東京都内から。江東区と墨田区で醸造を行う「ヴィルゴビール」様の醸造所へ伺ってきました。
今回は初回なので、ビールの製造の流れについて見ていきながら紹介していきます。
関連記事:日本の人気クラフトビール銘柄を7選
ヴィルゴビールとは
まずは今回、伺った「ヴィルゴビール」について紹介します。
ヴィルゴビールは、東京都墨田区と江東区に醸造施設を持つクラフトビールメーカーです。
2000年に創業し、老若男女問わず、気軽に楽しく飲めるビールを醸造しています。
またヴィルゴビールの商品については、展開するレストラン「北斎麦酒工房」へ伺い、飲み比べをしたので、まだご覧頂いてない方は、こちらもご覧ください!
醸造所の様子とビール造りの流れ
今回ご案内頂いたのは、代表取締役の中井さんと醸造長の青山さん、営業部長大塚さんです。ご協力いただき、ありがとうございます。
それでは、早速中を見ていきましょう。
まずは、使用している麦芽です。
2,000ℓを醸造するのに、この麦芽をおおよそ400~500㎏使用します。つまり、500mlのビールをつくるのに2㎏もの大麦が使われているのです。
ちなみに焙煎することで、黒ビールなど味に変化を付けることができます。
遠くに甘みを感じる「ザ・穀物」でした。
麦芽はこちらの粉砕機に入れて粉々に砕きます。
この作業は、アルコールの醸造に必要な糖を作りやすくために、糖の元となる麦芽のでんぷんを取り出しやすくする作業です。ミリングとも呼ばれます。
2,000ℓ…500㎏…20袋…。腰が爆発しそう…。
粉砕した麦芽は管で運ばれて、糖化釜へとうつされます。
この工程では、熱湯と粉砕した麦芽を混ぜ合わせることで、糖化が行われ、「麦汁」というビールの1段階前の甘い麦ジュースのような状態になります。
ちなみに糖化釜の中には、かき混ぜる用の大きなツメのようなものが!
糖化が終わると、100℃で煮沸していきます。
この煮沸の際にビールの苦みや香りの元となるホップを複数回に分けて投入します。量や種類はもちろん、タイミングでも仕上がりに差が出るので重要な工程です。
この後は、麦汁に酵母を入れてビールにするのですが、100℃近い麦汁に酵母を入れても酵母は働きません。
そこで登場するのがこちらの冷却装置です。
機械的なハチの巣のような見た目です。この金属の間を通ることで急速に麦汁が冷やされます。
ちなみに冷やす温度は、おおよそ20度。この後投入する酵母が活発に働くそうです。
冷やした麦汁は、醗酵タンクへとうつされます。
ヴィルゴビールの深川醸造所にある醗酵タンクは4,000ℓサイズが2つ、2,000ℓサイズが5つ。貯酒タンクは4,000ℓサイズが1つ、2,000ℓサイズが3つあるそうです。
醗酵タンクに入れられた麦汁は、酵母が入ることで、糖がアルコールへと変化します。そのため、この工程によっていわゆるお酒になるわけです。
では、いよいよビールだ!と行きたいところですが、ここで一旦酵母などに由来するにごりをとるため、ろ過され、貯蔵(貯酒)タンクへとうつされます。
少し余談ですが、大きなタンクのほかに発酵タンク2つ、貯酒タンク2つの計4つ小ロット250ℓのタンクもありました。こちらは、特にクラフトビールらしい個性的なビールの試作など小回りの効いた利用が多いのだとか。
なんでもこちらのタンクは、設立当初から使用しているらしく愛着のある品だそうです。
話を戻しまして、貯酒タンクからはもう既に一般的に飲まれているレベルで飲めるようになっています。
しかし、ここから保存期間を伸ばすために、ヴィルゴビールでは火入れも行います。
使用するのは、パストライザー。
通すことで、低温殺菌され、酵母が非活性化します。そのため、270日ほどの長期保存が可能になるそうです。
こうして、ようやく手元に届くものと同じ状態のものが完成です!
醸造所までクラフト?コロナの思わぬ影響とは?
醸造所を見学させていただいた際に、いわゆるコロナ禍で受けた影響についても伺いました。
醸造に使用する機器は、そのほとんどを中国から輸入ということで、半年で揃う予定の機器が、手元に届いたのは、約1年後だったそうです。この間の損失は少ないとは言えません。
しかし、一番の影響は「設置」にあったそう。
なかなかに大きな額なため、通常だと業者から設置のために専門のエンジニアが来てくれるそうですが、コロナにより入国ができずとなりました。
4,000ℓが入るような大きなタンクや、細かな配管など素人では設置は困難を極めます。そのような状況で、設置のためにある情報は、中国語の説明書のみ。
人伝てに助けてもらいながら、自分たちの手で設置を行ったのだとか。2020年夏頃にタンクが到着し、そこから設置に10か月ほど時間がかかったそうです。
2019年の11月に深川工場の場所を契約してから、2年弱の空白。かなりヘビーな影響ですね。
飲食や旅行業界はよくコロナの影響を耳にしますが、メーカーサイドにもこのような問題があったのは驚きです。
まとめ
今回は、ヴィルゴビール様の醸造所へと実際に伺い見学をさせていただきました。
ご協力頂いた関係者の皆様、ありがとうございます!
クラフトビールの醸造所を自分の眼で見るのは、今回が初めてでした。
設備として、やはりコンパクトさにクラフトビールらしさを覚えました。
またバックボーンや会社としてのコンセプトが、商品そのものに直結したりするのはクラフトビールメーカーらしくてこころを打たれました。
今後も様々な醸造所やお酒を紹介できればと思います。
▼商品についての飲み比べ記事はこちら!
ヴィルゴビールの公式HPはこちら。