ブルゴーニュの教科書「ルイ・ジャド」のアジア輸出部長によるセミナーから学ぶワインのアレコレ!
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運営するECサイトお酒の販売専門店”SAKE People” でも人気の生産者であるルイ・ジャド。ECでなくともバッカスのラベルを見た方も多いのではないでしょうか?
そんなルイ・ジャド社から、今回アジア担当輸出部長のエリー・ぺレスさんにご登壇いただいてワインセミナーを開催していただきました。
以前、正規輸入元の日本リカーさんにお越しいただきセミナーを受けた事もありましたが、ワイナリーの方にお越しいただき直接セミナーを受けるのはとても貴重な機会です。
そこで今回はセミナーの様子やエリーさんに質問した内容などを記事にしていきます。
ルイ・ジャドとは?
セミナーの様子をお伝えする前にそもそも「ルイ・ジャド」とはどのようなドメーヌ(ネゴシアン)なのか紹介していきます。
ここでは、セミナーでもご説明いただいた内容から、少し深ぼりして歴史にフォーカスしてみていきましょう。
簡単な概要などはこちらの記事をご覧ください。
歴史
メゾン「ルイ・ジャド」は、1859年にルイ・アンリ・ ドゥニ・ジャド氏によって設立されたドメーヌ兼ネゴシアンです。
設立者のルイ・アンリ氏は元々、ブルゴーニュのワイン関係の家系ではなく、ベルギー生まれの皮商人でした。
そんな彼がワインメゾンを立ち上げるのは、商売でフランスのブルゴーニュを訪れる中で、ブルゴーニュの豊かな自然やワインに魅了され、そしてブルゴーニュの女性に恋するところから始まります。
その女性がワイン関係の家系だったため、「ルイ・ジャド」が生まれるのです。
ベルギー商人の愛が、いまや設立からは160年以上、最初の畑から数えるともうすぐ200周年を迎えるような歴史あるメゾンになっていると考えるとまるで小説のようですね。
設立後は、1954年に経営をガジェ家に任せたり、1985年にアメリカの実業家であるコプファミリーに所有権が移るなど様々な変遷がありますが、「ルイ・ジャド」と言う名前とその哲学は変わることなく時代を渡り続けています。
輸出部長からルイジャドを学ぶ
セミナーではルイ・ジャドについてエリーさんに質問する機会にも恵まれました。
哲学や日本の食文化との組み合わせから、エリーさんが考えるルイ・ジャドの夢までなかなか聞く事のできない内容まで伺うことができました。
質問1 哲学について
1つ目の質問は、最初に畑を取得してから200年近い歴史があるルイ・ジャドの哲学について伺いました。
答えは「ルイ・ジャドスタイルの一貫性」と「テロワールを尊重すること」を最も重要視しているとのこと。
小さな畑の取得から大ドメーヌの一つに数えられる現在まで、多くのことが起こっているが、この2つは変わらないと言います。
また変わらないスタイルは経営においても同じです。経営にガジェが加わってからも、コプファミリーに移ってからもルイ・ジャドのスタイルは変わることなく貫かれています。
質問2 日本人の心を掴む理由と、日本の食文化との合わせ方
2つ目の質問は、アジアの中でも「日本」には特に注目しているというセミナーでのお話に関連して、「日本人の心掴んでいる理由」と「日本食文化とのルイ・ジャドの組み合わせ」について伺いました。
回答は、「いつ飲んでも「ルイ・ジャドスタイル」を感じられることが日本人の勤勉さとマッチしているのではないか」とのこと。
日本人の気に入ったモノやコトの継続を好む性質が、ルイ・ジャドの安定性と信頼感がと合っているのではないかと仰っていました。
その他、代名詞でもある覚えやすいバッカスのラベルや、ブルゴーニュの世界に足を踏み入れる時にはルイ・ジャドのワインが教科書的に通る道であることも重要な要因だと思う、とのことです。
たしかに、ラベルが特徴的でワインショップに置いてあると目をひきますよね。
続いて日本の食との組み合わせについては、「日本料理は素材を活かしたものが多いと感じている。食材も味付けもバラエティに富んでいることから、数多くテロワールを熟知し生産するルイ・ジャドのワインであれば、幅広く合わせることが出来ると確信している。」と日本の食とルイ・ジャドワインのペアリングの可能性を感じる回答をいただきました。
次の章でテイスティングワインに合わせて紹介していきます。
質問3 注目の産地
3つ目の質問は産地についてです。セミナーでテイスティングしたワインには、ルイ・ジャドがアメリカにもつレゾナンスのワインも試飲しました。
2013年から始まったアメリカ進出でしたが、他に気になっている産地はあるのでしょうか?
回答は、 ニュージーランドのセントラルオタゴやドイツなど世界中に良いピノ・ノワールを育てるのに魅力的な畑があり注目しているとのことでした。
ちなみに、エリーさんは日本の北海道にも注目しているそうで、以前に北海道のピノを使ったワインを飲み、ポマールに似た素晴らしいバランス良さを感じ、魅力的に感じたのだとか。
個人的にソンジュドバッカスの北海道ピノ版も可能性としてあるのかなと思いましたが、今のところルイジャドの人員や販売戦略的には、可能性はあまり高くはないそうです。
しかし、一大ドメーヌの輸出部長が注目しているぶどうが日本にあるのは嬉しいことですね。
質問4 エリーさんが考えるルイ・ジャドの未来
最後の質問は、エリーさんが考える夢についてです。
「これまでと同じようにルイ・ジャドのワインが多くの食卓などで身近な存在として楽しまれていること。そして、バラエティに富んだ多くのワインがある中で、普段ルイ・ジャドのワインを飲まれる方にとっても特別な時に飲みたくなるような存在であること。」と回答してくれました。
特級、一級も含めて200ha以上の自社畑を所有し、2世紀近くスタイルを貫くルイ・ジャドだから実現できることかもしれませんね。
その他、「日本を含め各国を訪れた際に、お客様とルイ・ジャドの価値観を共有しながらグラスを傾ける機会が増えること。」も夢の一つだと仰っていました。
今回テイスティングしたワイン
ここからは、テイスティングしたワインを紹介していきます。
「個人的」ですが、レビューもあわせて紹介していくので、ルイ・ジャドのワインに興味のある方はぜひ購入の参考にしてみてください。
シャブリ 1er フルショーム 2020
シャブリはブルゴーニュ北部にある地区です。
泥灰岩と石灰岩などからなる「キンメリジャン」というシャブリ特有の土壌と大陸性気候から、ミネラルと酸味が現れやすいテロワールをしています。
フルショームはそんなシャブリの中のプルミエ・クリュです。シャブリの中でも特に品質が高く、近くにあるグラン・クリュに近い条件を持っています。
今回のセミナーでは2020ヴィンテージを試飲しました。
香りは、花弁の先がほんのり黄色がかったような白いお花の香りのイメージ。味わいは、シャブリらしいほんのりレモンを感じるような酸味と塩味に近いミネラルを感じました。
若いヴィンテージでしたが、フレッシュで元気のある味わいながら上品さを感じたのはフルショームのパワーでしょうか。
白身魚のお寿司やお刺身との組み合わせをぜひ楽しんでほしいとのことです。
個人的には、少し樽感があったので、昆布〆した白身魚でも旨味がいい仕事をしてくれそうだと思います。
サン・トーバン 2018 ブラン
サン・トーバンはシャブリよりも南東、ピュリニーモンラッシェやシャサーニュモンラッシェに隣接している地域です。
元々は赤ワインが多く造られていましたが、近隣の畑の影響をうけて、現在は白ワインの生産が盛んになってきています。
また、高いポテンシャルを持っているものの、値上がりがモンラッシェ等と比べて低くコスパが良いのもサン・トーバンの嬉しいポイントです。
テイスティングでは、2018ヴィンテージを頂きました。
香りはシャブリほどのハツラツとした明るい雰囲気ではなく、少し陰のある感じのある白い花のようなイメージ。酸味とミネラルがバニラのドレスを纏っている感じです。味わいは、バニラや樽を彷彿とさせるようなクリーミーな印象をうけました。
ペアリングでは、サントー・バンやムルソーには、調理された魚介類がおすすめとのことです。
個人的にはホワイトソース系の料理とあわせても負けないリッチさを感じました。
ムルソー 2020
ムルソーは、白ワインの名産地として知られており、育つシャルドネはブルゴーニュでも最高峰と言われています。
ルイ・ジャドをはじめムルソーのワインは樽で熟成されていることが多いです。
木樽熟成は、アーモンドやバター、ハチミツを連想するような木樽の香りを感じるコクを楽しむことが出来ます。
また、熟成による変化が大きく、だんだんと柔らかく上品な果実味と酸味が出てくるのもムルソーの魅力です。
テイスティングでは、2020ヴィンテージを頂きました。
香りにはほんのりアーモンドと上質なフロマージュを感じ、茎や葉がたくましい白い花のイメージ。味わいは、少し若い印象でしたがミネラルとコクのある感じが絶妙なバランスで感じられ、安定感があります。
幅広い料理に合わせやすいと思いますが、タンドリーチキンなど少しスパイシーな料理でも相性が良さそうです。
ブルゴーニュ コート・ドール 2020
ここからは赤ワインです。
ルイ・ジャドの「ブルゴーニュ コート・ドール」はAOCの中でも特定畑に呼称されるデノミナシオン(地理的補足表示)のワインとヴィラージュワインをブレンドして造られます。
ちなみにラベルは、気候と土壌とクリマを表現したデザインなんだとか。
テイスティングでは2020ヴィンテージを頂きました。
やや濃い色調で、ピノ・ノワールの中でも少し重たくグルナッシュを連想するスパイシーさ
を感じられます。
ペアリングでは、シンプルにグリルした赤身肉がおすすめとのことでしたが、余韻が長く果実味が芳醇なので、少し味が強い料理にも合わせて美味しく楽しめると思いました。
ボーヌ 1er オマージュ・オー・クリマ 2018
ボーヌ 1er オマージュ・オー・クリマは、ルイ・ジャドの設立150周年を記念してリリースされたワインです。
ルイ・ジャドが最初に購入した「クロ・デ・ズルシュール」をはじめ、十数種類のプルミエクリュをブレンドして造られています。
テイスティングでは2018ヴィンテージをいただきました。
香りは、箱入り育ちの赤い果実をイメージするような上品な雰囲気があります。味わいは赤黒い果実味が豊かで骨格がしっかりしているものの、丸みがあり非常に飲みやすい印象をうけました。
煮込み料理やソースで味付けした肉料理との相性が良いとのこと。
試飲でもスペアリブに合わせて飲みたい思うワインでした。
レゾナンス デクヴェルト・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2015
レゾナンスは、2013年にルイ・ジャドがアメリカのオレゴン州ウィラメット・ヴァレーに購入したヴィンヤードです。
レゾナンスのチームには、40年以上ルイ・ジャドの醸造責任者を務めたジャック・ラルディエールや、メゾンルイ・ジャド社長の息子ティボー・ガジェなどが加わりワインが造られています。
テイスティングでは デクヴェルト・ヴィンヤードのピノ・ノワール、2015ヴィンテージを頂きました。
デクヴェルトは、レゾナンスが2番目に取得した畑です。ウィラメット・ヴァレーの中でも特に優れた産地と言われています。
香りは黒い果実を使ったタルトを連想するような雰囲気に、フレッシュさも垣間見えました。味わいは果実味がどっしりとしすぎないピノ・ノワールらしい味わいにほんの少し甘みも感じられます。
筆者がメルローやローヌのシラーやグルナッシュが好きなのですが、同じような種類がお好きならおすすめしたいワインです。
シャペル・シャンベルタン グラン・クリュ 2016
シャペル・シャンベルタンはジュヴレ・シャンベルタンにあるグラン・クリュ。
造られるワインは、ジュヴレシャンベルタンに9つあるグラン・クリュのうち最も軽快と表現されることが多いですが、近年はドメーヌによっては違いも出てきています。
テイスティングでは2016ヴィンテージを頂きました。
香りは今回テイスティングした中でもやはり圧倒的です。大太刀担いだ赤黒い果実がニッコニコで仁王立ちしているような力強くも優しい印象がありました。
味わいは、重たすぎない絶妙な果実味が駆け回り、静かに喉に飛び込んでくるようです。高級なワインで普段飲める機会も少ないので、ワインが魅せる表現を多く理解できないのですが、間違いなく今回のテイスティングしたワインの中で、一番脳が味覚と嗅覚の処理をしている気がします。
食べ合わせでは、赤身肉のグリルなどのシンプルなものから煮込みまでは合わせやすいとのことでした。
個人的にはハードタイプのコンテやミモレットなどのチーズ、鹿の内もも肉をシンプルにローストして合わせて飲んでみたいです。駆けるような果実味と相性が良さそうです。
まとめ
今回は、フランスでも有数の自社畑を持つルイ・ジャドからアジア輸出担当部長のエリーさんにお越しいただいて開催となったセミナーと、試飲したワインのレビューについて紹介しました。
生の声は熱が違います。筆者は英語があまり分からないので翻訳され待ちでしたが、英語で話されている時の熱に圧倒されました。
貴重な体験が出来て良かったと思うと同時に少しでも読んでくれた方に伝わったら嬉しいです。半分くらいワインビギナーのユニークレビューでしたが。
ルイ・ジャドワインはお手頃な2,000円台からラインアップが展開されています。ぜひこの機会にバッカスのラベルに触れてみてください!
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