貴腐ワインの特徴とは?詳しい作り方や人気の定番銘柄も紹介
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みなさんは「貴腐ワイン」というワードをご存知ですか?文字面から察するに、何かを何らかの手法で腐らせたワインと考えるワインビギナーさんも多いのではないでしょうか?
実は貴腐ワインはワインマニアの間でも人気のジャンルで、その独特な味わいは世界中のワイン好きを虜にしています。
今回は貴腐ワインにフォーカスし、製造方法や他のワインでは見られない特徴についても深掘りしていきます!
目次
貴腐ワインとは?
貴腐ワインとは「貴腐ブドウ」と呼ばれるブドウを原料にして造られたワインの総称で、「ワインの帝王」との呼び声が高い極甘口のワインです。
デザートワインとしてよく飲まれる貴腐ワインは、ブドウ栽培の難しさや手間ひま惜しまず手摘みによる収穫が行われるため、丁寧に造られたワインとなっています。
その希少性の高さから、甘口ワインの中でも高値が付く傾向にあります。
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貴腐ワインの歴史
貴腐ワインの起こりは諸説ありますが、ドイツ起源説が最もよく知られています。
18世紀のドイツでは、ブドウの収穫を農家の自己判断で行なってはならないという決まりがありました。修道院に申請を出し、許可が下りれば収穫できるようなシステムになっていたのです。
とあるブドウ農家さんは、ブドウ収穫の申請を出していたのにもかかわらず、しばらく許可が下りなかったそうです。これは許可が下ったことを伝える使者が遅れたことが原因でした。
使者が到着したころにはブドウはもうカビだらけ…。そんな状況でも収穫することは義務づけられているので、しぶしぶカビだらけのブドウを収穫し、投げやりな気持ちでワイン醸造を行ったそうな。
試しに味見をしてみると、これまで味わったことがない甘美さと奥深さを持つワインとなっていました!これが貴腐ワインの起源だと噂されています。
貴腐ワインの造り方が確立されていなかった当時は、カビの生えたブドウでワインを醸すことは信用問題となりました。もしカビだらけのブドウでワインを造ったと知れたら、領主などから処罰の対象となる可能性があったのです。
貴腐ワインについての情報があまり残されていないのは、事実を大っぴらにできなかったからと推測できますね。
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貴腐ワインの特徴
貴腐ワインのアイデンティティーとも言えるこっくりとした甘さは、いったいどのようにして生み出されるのでしょうか?ヒントはブドウの栽培方法にありました。
ブドウの”貴腐化”
貴腐ワインを造るにあたって必要になるものが貴腐ブドウです。
貴腐とは「高貴なる腐敗」を意味します。「貴腐ブドウ」と呼ばれるブドウ品種があるわけではありませんが、貴腐ワイン用のブドウ品種に貴腐菌と呼ばれる特殊なカビを付着させることで、貴腐ブドウを作ることができます。
ちなみにこの貴腐菌は世界中どこにでも存在しています。
貴腐菌の正体
貴腐菌の代表格として有名なのがボトリティス・シネレア菌。この菌は、ブドウの皮を破ることなく果実の水分だけを抜くというたいへん器用な菌です。
ボトリティス・シネレア菌がブドウの表面に付着すると果皮に穴をあけて水分を飛ばすのですが、糖分は飛ばすことも消費することもないので、結果貴腐化したブドウは甘くなるというわけです。
貴腐化させるブドウ品種
辛口ワインでおなじみのセミヨンやリースリングなどの白ブドウ品種が、貴腐ブドウとして一般的に使われます。またハンガリーではフルミントという白ブドウも貴腐ワインの原料となることが多いです。
どの品種も皮が薄いという特徴があるため、貴腐化に向いた品種とされています。
貴腐化に向かないブドウや他の植物に貴腐菌がついてしまうと、灰色カビ病という病気を引き起こしてしまいます。貴腐ブドウ以外の植物には害となってしまうわけですね…。
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世界3大貴腐ワイン
世界規模で見てみると、群を抜いて高い評価を得る貴腐ワインが存在します。
ソーテルヌ
ソーテルヌとはフランス・ボルドー・ソーテルヌ地区で造られる貴腐ワインを表します。
この地区は秋ごろになると、あたり一面霧に覆われる特殊な気候条件となっています。発生した霧が午後になって晴れてくると乾燥した状態となるため、ブドウの貴腐化が進みやすいのだとか。
中でもシャトー・ディケムの貴腐ワインは最も有名な銘柄で、ソーテルヌ&バルサックという格付けでは唯一第1級に選ばれています!
トロッケンベーレンアウスレーゼ
トロッケンベーレンアウスレーゼはドイツの貴腐ワインを表しますが、産地名や生産者の名前ではなく、プレディカーツヴァインという格付けのひとつとなっています。
ドイツ国内で特に最高級ワインとの呼び声が高いのはモーゼル地方のエゴン・ミュラー!
エゴン・ミュラーはDRCのワインを凌駕し、世界最高額の白ワインに君臨した経歴もあります。
トカイ・アスー
ハンガリーのトカイ地方で造られるワインは総じてトカイワインと呼ばれますが、トカイ・アスーは白ワインに貴腐ブドウを漬け込んで醸されます。
ハンガリーのワイン法では、ワイン1Lあたりの残糖量が120g以上でなければ「トカイ・アスー」を名乗ることができないと定められています。
中でもシャトーエラが生み出すトカイ・アスー5プットニョシュは、はちみつを思わせるほどの濃厚な甘さが特徴となっていて、一瞬リキュールと勘違いするほどの味わいを持った貴腐ワインです。
まとめ
今回は貴腐ワインについてまとめました。ブドウであればどの品種でも貴腐化できるというわけではないんですね。
コスパの良い商品も売られていますので、ワイン玄人の方もビギナーの方もデザート酒に貴腐ワインを味わってみてはいかがでしょうか?
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